成田国際空港と東京都心間の所要時間を短縮し,旅客の利便を図ることを目的として,1971年に計画されたのが,幻の成田新幹線だった.
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成田国際空港(新東京国際空港)が計画された際に,空港開港予定1978年(昭和53年)より前の1976年(昭和51年)の開業を予定していた.
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1974年から先行工事に着手したものの,浦安市市川市行徳地区,船橋市などの建設反対運動のため,工事は1983年(昭和58年)に凍結されてしまった.
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すでに,東京駅(現,JR京葉線東京駅)などの建設に900億円以上も投じていた.
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しかし,成田国際空港はとにかく遠い. いくつかの代替案が検討された. 東京駅(現,JR京葉線東京駅)から西船橋−新鎌ヶ谷−小室−成田空港へ行くA案(ほぼ当初計画案),上野−高砂−新鎌ヶ谷−成田空港へ行くB案,東京−千葉−成田空港へ行くC案が検討(現,成田エクスプレス)された. 結果,運輸省(現,国土交通省)はB案(北総線延伸)を1984年(昭和59年)に決定した. だが,実際には容易なC案(成田エクスプレス)が先に実現された.
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既存の京成本線を使った京成スカイライナーの運行(1978年-)と,成田エクスプレス(N'EX)の運行(1991年-)していたこともあり,B案(北総線延伸)の計画はなかなか進まなかった.
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2000年1月の運輸政策審議会答申で北総線を印旛日本医大駅から成田国際空港までを整備し,2015年までに開業することが適当との方針が示された.
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2000年7月にようやく北総線が全線開通. 翌,2001年に成田空港と都心間を30分台で結ぶ成田新高速鉄道の建設が決まったのだった. 最後の区間となった印旛日本医大駅-成田空港高速鉄道接続までの間は,成田高速鉄道アクセス(第三セクター)が主体となって2006年2月4日に着工,2010月4月には完成する予定だ.
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運行は京成電鉄が行ない,線路の保有および建設は別会社が行う上下分離方式となっている. 資産上の線路は,北総鉄道(京成系)+千葉ニュータウン鉄道(京成系)+成田高速鉄道アクセス(船橋に本社)+成田空港高速鉄道(JR系)と複雑ではあるが,運行路線は,成田新高速鉄道線(51.4km)として名称が統一される. 一般から募集された愛称は,成田スカイアクセスとなる. 日本人には言いにくいのではないかという意見もある. 成田スカイラインの方がごとばの流れが良いが,商標登録の関係で採用できなかったようだ.
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成田スカイアクセスの開業は2010年7月となり,新たに投入される新型スカイライナーにより,空港第2ビル−日暮里駅間で従来の京成本線経由より15分短縮されて36分(京成上野まで44分)となる. 一般無料特急の場合でも 59分で結ぶ. 料金は,乗車券 1200円,ライナー券 1200円で,合計 2400円となる. 京成本線(京成船橋経由)経路では,京成日暮里(または上野)―空港第2ビルまでの乗車券 1000円+ライナー券 920円,合計 1920円なので,少々高い設定になっている.
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なお,東京駅―成田国際空港間でのJR東日本成田エクスプレス(N'EX)特急込みの料金は 2900円で,最速53分となっている. 東京駅―日暮里駅間(山手線)のJR東日本150円を加算(2550円)しても,成田スカイアクセスの方が安いし早い.
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これに対して,JR東日本も対抗策を打ち出した. 新型車両(E259系)の成田エクスプレスを投入した. また,単独での発売はしないものの海外旅行商品と一緒に購入すれば 2400円とした. 企画キップのひとつなので,2010年3月31日までとはなっているが,それ以降も継続するものと思われる.
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成田スカイアクセスの開業により,既存の京成本線経由の運行はどうなるのだろうか.
当面,継続運行するようだ. 京成船橋駅にも停車する. しかし,京成電鉄としては,成田ニュータウン駅経由と京成船橋駅経由の2経路を持つことになる. 今のままであると,経路によって2つ料金となる. 京成日暮里駅などにおいて,経路別に改札口をわければ回避できそうだが,高い改札機を余計に設置しないといけないし,その他の管理費用も必用だ. 利用者側からみれば,到着時刻を見ながら,待ち時間の短い方に乗車したい場合もあるであろう. この辺の問題を,どのように解決するのだろうか. 特に,初めて来た外国人に,行き先が同じにもかかわらず同じ運行会社でありながら,この違いを理解させるのは難しいことを考えると,運賃統一の方向で調整(値上げか?)されるのではないかと思われる.
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(2009年06月12日)新型成田エクスプレスが2009年秋から導入(1)